Uyeda Jeweller
Column
和洋ジュエリー手帖
vol.3

70年ぶりの里帰り銀器

The silverware which returned after an interval of 70 years

植田 友宏 / Tomohiro Uyeda

今回はウエダジュエラー所蔵の Archive(アーカイブ)のご紹介をいたします。
ウエダジュエラーでは大正期(1912年~1926年)~戦後(1960年代)まで、多くのシルバースミスを抱え、プライベートジュエラーとして華族の方々・大公使館からオーダーを頂いておりました。

特に大正天皇御崩御(1926年)の際は諸外国の大公使館から御大葬に奉納する銀製の月桂樹の花輪(高さ60㎝・70㎝・80㎝の三通り)のご注文を全部で 28 カ国中 12 カ国から頂きました。また、今上天皇のご成婚記念(1959年)の際には外交団からのお祝いとして銀の花盛(直径1m・厚さ2.5㎜・重さ10㎏程)をご注文頂く等、戦後『UYEDA Pearl』と呼ばれるようになるまでは銀製品が主力で、売上の比率が昭和初期の時点では 60%~70% を占める時期もありました。

ウエダジュエラー所蔵。銀製の月桂樹
銀製の月桂樹
全体は楕円形で、葉もリボンも純銀製で重量感があった。
ウエダジュエラー所蔵。平成天皇ご成婚記念銀製花盛
平成天皇ご成婚記念銀製花盛

取扱い製品は主にコーヒーセット、テーブル用のナイフ、フォークのセット、皿類などで、『K.UYEDA』と刻印が入った銀製品は海外のオークションでも高い評価を頂いております。

ロンドンのオークションで発見され、70 年ぶりに里帰りしたコーヒーセット・化粧セットは旧華族の蜂須賀家からオーダーされ、すべてに『卍の家紋』と『K.UYEDA』の刻印が入っています。コーヒーセット・化粧セット全部で 14 品目 33 点あり、その中でも特に手つきブラシ、お白粉が残っているガラス容器は非常に珍しく、当時の華族の方々の華やかな生活が偲ばれます。

ウエダジュエラー所蔵。蜂須賀家の里帰りした銀器<コーヒーセット>(昭和20年前後) / Silverware of Hachisuka Family <Coffee set> (Around 1945)
蜂須賀家の里帰りした銀器<コーヒーセット>
(昭和20年前後)
Silverware of Hachisuka Family <Coffee set> (around 1945)
蜂須賀家の里帰りした銀器<化粧セット>(昭和20年前後) / The history is now back – Silverware of Hachisuka Family <Makeup set> (Around 1945)
蜂須賀家の里帰りした銀器<化粧セット>
(昭和20年前後)
Silverware of Hachisuka Family <Makeup set> (around 1945)
徳川喜和子様ご使用の銀製・平戸細工のブレスレット(昭和20年前後)/ Hirado handiwork silver bracelet used by Ms. Kiwako Tokugawa (Around 1945)
徳川喜和子様ご使用の銀製<平戸細工のブレスレット>
(昭和20年前後)
Hirado handiwork silver bracelet used by Ms. Kiwako Tokugawa (Around 1945)
徳川喜和子様ご使用の銀製手鏡(昭和20年前後)/ Silver mirror used by Ms. Kiwako Tokugawa (Around 1945)
徳川喜和子様ご使用の銀製<手鏡>(昭和20年前後)
Silver mirror used by Ms. Kiwako Tokugawa (Around 1945)

徳川喜和子様ご使用の銀製・平戸細工のブレスレット・手鏡も非常に珍しいもので、こちらも 70 年ぶりに戻りました。徳川喜和子(徳川慶喜の孫、高松宮妃の従姉妹 1910.10.31-1997.8.21)様がご愛用されていた銀製ブレスレットは、ウエダが創業当時得意としていた平戸細工で『K.UYEDA』の刻印が入っています。とても繊細な花柄の銀線細工が施され、洗練されたセンスが偲ばれます。ご愛用されていた銀製手鏡には徳川喜和子様のイニシャル『KT』が大きく打ち出されており、『K.UYEDA』の刻印が入っています。

ウエダジュエラー
代表取締役社長
植田 友宏

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