鉱物としてはサファイアとおなじコランダムという石で、クロムという元素が1%ほど混入することにより、あの美しい赤を発色します。クロムがこれより少なければピンクサファイアに、多ければ黒っぽくなってしまうのですが、この絶妙なバランスが自然界で起こることは非常に稀なため、ルビーは多く産出しないのです。
産地はミャンマー、タイ、スリランカなどアジアが主で、近年ではタンザニアやマダガスカルといったアフリカでも産出しています。中でもミャンマー産のピジョンブラッドと呼ばれる色が最高級とされますが、政情不安もあって産出量はわずかです。
人類とルビーの付き合いは青銅器時代にまで遡りますが、この真っ赤な石を見た古代の人々が、石の中で炎が燃えていると考え、身を守る力があると信じたのもうなずける話です。