本年も格別のご高配にあずかり、厚く御礼申し上げます。

今年はウエダジュエラー創業 140 周年の節目の年でした。140 年間商いをつづけてくることができましたのも、ひとえにお客様のご愛顧の賜物と重ねて心より御礼申し上げます。

2024 年の訪日外国人数は過去最高を記録し、ウエダジュエラーにも海外からたくさんのお客様にお越しいただきました。その中のエピソードをひとつご紹介させていただきます。
3 月にオーストラリアの方からブレスレット修理依頼のメールを頂戴いたしました。メールによると、1962 年にお母様が 3 人の娘のために愛らしいパールのネックレスとブレスレットをウエダジュエラーでお求めになったとのこと。以来、大切にお使いいただいていたのですが添付写真を確認したところブレスレットのパーツが外れていました。11 月の来日予定の際に修理を承る旨お伝えすると「両親が 1962 年に訪れたウエダジュエラーへ行けることが本当に楽しみです」とご返信いただきました。そして迎えた 11 月、来日中にいただけた時間は 3 日間のみでしたが職人とも事前に打ち合わせて綺麗に修理し、お渡し当日ご本人に大変お喜びいただけました。今回は時間がなくできなかったネックレスの糸替えも次回はお願いしたいと再訪をお約束されて帰路につかれました。
そのようにお喜びいただけたことも私共にとって嬉しい出来事でしたが、それまでの何度かのやりとりの中で度々「ウエダジュエラーへ行くのが楽しみです」と仰っていて、62 年前のご両親のウエダジュエラーでのお買い物がご家族の大切な想い出となり、いつか行ってみたいと思っていただけていたことが強く伝わり、長く店をつづけてくることができたからこそと、この上なく嬉しく、ありがたく心があたたかくなる出来事でございました。

ジュエリーは贈った方、贈られる方、またご自身の想いも込められ、そのお求めの際の時間や体験も含めて、想いや思い出と共に御守りのように纏うことができる貴重な宝物であると 140 周年を迎えて改めて身にしみて感じました。
3 代目であった父・植田新太郎が 1960 年代、まだ海外の名だたるジュエラーが日本に入ってくる前に視察で訪れたパリ・ヴァンドーム広場のある名門宝石店で老婦人が初老の店員と楽しそうに語り合っているのを見て、日本のプライベートジュエラーを目指そうと志したと聞いております。
4代目・植田友宏も同じく望んでおりましたように、これからもウエダジュエラーはお客様お一人お一人の想いと人生に寄り添って共に歴史を重ねていきたいと存じております。
141 年目の 2025 年もお客様の想いに寄り添えるジュエリーつくりに一層精進してまいります。 何卒お引き立て賜りますようお願い申し上げます。
来たる 2025 年が皆さまにとって明るくお健やかで幸多い年となられますことを祈念しております。
どうぞよいお年をお迎えくださいませ。

2024 年 12 月吉日

ウエダジュエラー 代表取締役社長
植田 嘉恵