本年も格別のご高配にあずかり、厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

今年は、お客様とゆっくりお話をさせていただく機会に恵まれた一年でした。
お話しすることができたお客様から
「なんでも相談でき、信頼できるジュエラー」
と仰っていただけたことは、私どもにとって何よりの励みでございます。

そのなかであるお客様から「帯留め」のエピソードを伺いました。
お祖母さまからお母さまへ、そしてお母さまからそのお客様へと、三代にわたって受け継がれた珊瑚（サンゴ）の帯留めについてのお話です。

お客様はその大切な帯留めをウエダジュエラーにお持ちくださり
「帯留めとしては出番が少ないので、ブローチに加工したい」
というご依頼をされました。
しかしスタッフがよくよく拝見すると、ご希望の加工では貴重な珊瑚を傷めてしまう可能性がありました。
そこでご希望のブローチではなく、ネックレスに通して「ペンダント」としてお使いいただく方法をご提案させていただきました。
その方法であればサンゴへの負担が少なく、さらにこれまでどおり帯留めとしてもご利用いただけます。

その後、お着けいただく機会が増えたその帯留めを、お客様はペンダントとして、また元々の帯留めとして、永く身に着けていただいているとのことでした。

「それが、私にとってウエダとの出会いなの」

身に着けていらしたペンダントを手にお話くださったことは、私どもにとって忘れがたい出来事です。
素晴らしい細工が施された珊瑚は、いまも美しい色合いのままお客様の胸元を彩っていました。

大切なお品のこれからに、誠実に寄り添うこと。
そこにこそ信頼が生まれるのだと、改めて教えていただきました。

ウエダジュエラーは 1884 年の創業以来、初代吉五郎の代から現在に至るまで「誠実・奉仕・融和」を社是としております。
三代目・新太郎の代に、これらに「存続」が加わりました。
この社是を、経営者・社員一同が守りつづけてきたことで、「相談でき、信頼できるジュエラー」とお客様に感じていただけたと 実感できたことは、142 年目の 2026 年へ向けて何よりの励みとなります。
日本で一番長い歴史を持つジュエラーとして、その伝統と、日本の四季に宿る美を、お客様との対話のなかで磨きつづけ、一つひとつのジュエリーに込めてまいります。
今後とも何卒お引き立て賜りますようお願い申し上げます。

来たる 2026 年が皆さまにとって明るくお健やかで幸多い年となられますことを祈念しております。
どうぞよいお年をお迎えくださいませ。

2025 年 12 月吉日

ウエダジュエラー 代表取締役社長
植田 嘉恵