Uyeda Jeweller
Column
和洋ジュエリー手帖
vol.9

ダイヤモンドの魅力について

 

植田 友宏 / Tomohiro Uyeda

私は宝石の中で一番ダイヤモンドが好きです。その美しい輝きはもちろんですが、元々は鉛筆の芯と同じ炭素(C)の結晶で、20億年位前に地球の150km以上もの奥深くの高温高圧下のマグマ内で結晶された奇跡の宝石であるということが魅力の源泉です。そして地球上に存在する物質の中で一番硬い、といわれ「美しさと強さ」を兼ね備えている宝石だからです。

現在の宝石市場のシェア70%を占めているダイヤモンドですが、その身近なダイヤモンドについて意外と知られていないことが多いと感じます。

まず、「ダイヤモンドは永遠の輝き。」という20世紀最大のヒットコピーと評される世界的キャンペーンを打ったデビアス社が世界市場を独占していたのは昔の話(1900年代は90%)で、現在は世界で採掘されるダイヤモンドの生産量約7~8割を占めるのが、デビアスの他、「アルロサ(ロシア)」、「リオ・ティント(イギリス)」等の5社の採掘会社の寡占状態です。

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また、2006年に上映され『ブラッド・ダイヤモンド』で問題になった紛争ダイヤですが、かつては総生産量の15%を占めていましたが、ダイヤモンド原石の原産地を証明し、紛争ダイヤモンドを締め出す為に導入した認証制度、「キンバリープロセス」が2003年から施行され、現在では1%未満に減少しました。

そしてダイヤモンドの希少性がわかり易いのは、全世界のダイヤモンドを集めた総量のイメージです。有史以来宝石用に研磨されたダイヤモンドはロンドンバス一台分ほど。ちなみに金はオリンピックプール2杯分と言われています。採掘され、研磨されるダイヤモンドの内、宝石品質のダイヤモンドは全体の約20%、低品質のニアジェム(本来は工業用)が30%、工業用50%の割合です。

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最後に2018年に他界した父(ウエダジュエラー三代目・植田新太郎)が某私立女子校理事長として学園誌に投稿させて頂いた【人を磨く】というコラムをご紹介します。「ダイヤモンドはダイヤモンドでしか磨けない。人は人によって磨かれる。」今読み返すと本当にその通りだと感じます。ダイヤモンドも磨き方次第、人も生き方次第で美しく輝くと思います。

【人を磨く】
『ダイヤモンドが地球上で最も硬い物質であることは自明のこととして知られています。ダイヤモンドが宝石の王様と位置付けられている理由は、その硬さと希少性、そして何物にも負けない輝きなどによります。

しかし、そのダイヤモンドも始めからその輝きをもっているわけではありません。地中奥深くから掘り出されたままの姿は、ただの石ころ同然です。そうした原石は、カットされて初めて宝石としての価値を生みます。ダイヤをカットし磨くのには、同じダイヤの粉末を使います。つまりダイヤはダイヤによって磨かれ、その価値がもたらされるのです。

それでは、私たち人間は、何によって磨かれ成長するのでしょう。私は自身の経験からも、人は人によって磨かれ成長すると考えています。私の長い人生の中で出会った、数多くの素敵な素晴らしい人々に磨かれて、成長してきたと思います。~中略~

「小才は縁に出会って縁に気づかず、中才は縁に気づいて縁を活かせず、大才は、袖振り合うも縁とする」という言い伝えもあります。そうした縁に気づき大切にする事で、人は磨かれ、人生は豊かなものになっていくのだと思います。 理事長 植田 新太郎』 

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参考文献

『ダイヤモンド 原石から装身具へ』 諏訪 恭一、アンドリュー・コクソン、世界文化社、2009年
『宝石』 諏訪 恭一、世界文化社、1993年
『価値がわかる 宝石図鑑 』 諏訪 恭一、ナツメ社 2015年


次号をお楽しみに