世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、帝国ホテルも昨年までは50%の宿泊客が海外からのお客様でしたが、ロビーの様子も様変わり致しました。
プラザ合意(1985年)により円高になる以前のウエダジュエラーは約9割が海外からのお客様でした。毎年クリスマスシーズンになると多くの海外のお客様からクリスマスカードが届き、そのカードを店舗の壁一面に飾っていました。
今回のコラムではウエダジュエラーと海外のお客様とのストーリーをご紹介致します。
ウエダジュエラーは日本の伝統の中で育んできた「和」の美意識と匠の技、おもてなしの心。それを「洋」のジュエリーという形で現代に継承することが、ウエダジュエラーにしかできない唯一無二の価値であると考えています。
「洋」の文化は帝国ホテルと言う立地により多くの海外の一流のお客様から創業以来プラザ合意までの約100年間、オートクチュールのご注文やお付き合いから吸収し、学ばせて頂きました。
ウエダジュエラーのカスタマーリストには多くの海外スターの方々のお名前がございます。
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ハリウッドスターではマリリン・モンロー(米女優)、ソフィア・ローレン(伊女優)、カーク・ダグラス(米俳優)、ジーナ・ロロブリジータ(伊女優)、ショーン・コネリー(007 初代ジェームズ・ボンド役)、ロジャー・ムーア(英俳優)等。
スポーツ選手では、ベーブ・ルース(米プロ野球選手)、ルー・ゲーリック(米プロ野球選手)、アーノルド・パーマー(米プロゴルファー)、トム・ワトソン(米プロゴルファー)、クリス・エバート(米プロテニス選手)、カール・ルイス(米陸上競技選手)等。
音楽家では、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮者)、シルヴィ・ヴァルタン(仏歌手)、ミック・ジャガー(英歌手)等
政財界の方では元GHQ総司令官夫人 ジーン・マッカーサー、元IOC第五代会長 アベリー・ブランデージ、元米大使 ライシャワー夫妻、元米国務長官夫人 ナンシー・キッシンジャー、元米大使 マンスフィールド夫妻等。
などの多くのセレブリティの方達にいらして頂きました。
ウエダジュエラーの社史「SINCE1884」には海外のお客様とのストーリーが詳細に書かれています。
当時専務取締役だった植田 義己(二代目植田富士朗の弟)の手記によると、
「1934年、米国からはじめてのプロ野球のオールスターチームが来日した。ベーブ・ルースやジョー・ディマジオ等の超一流選手ばかりの豪華メンバーでした。
そしてこのメンバーのほぼ全員を本店に連れてきてくれた方が居ました。彼等は二週間くらい滞在していて、ほとんど毎日のように店に来て、お土産を買ってくれました。
当時、外国からの来日はすべて船旅で二、三週間もかかる不便さがあったが、その後も続々と著名な政治家、実業家、芸能関係者が来日しました。
その中でも西部劇で有名であったダグラス・フェアバンクスとその夫人メアリー・ピックフォードが店に来た時は、アーケードの狭い店に新聞記者が溢れかえっていました。」
・ マッカーサー元師夫人の買物
「GHQ司令官夫人ミセス・マッカーサーは土曜日ごとに息子のアーサーを連れてご来店されました。店では細かい銀製品、とくに色々な形の塩、コショウ入れをほとんど全部買い上げて下さりました。」
・ 海外の王室からのお客様
「オランダのベアトリクス王女はご結婚前、毎年のようにいらしていました。
他にもスペイン、イラン、オーストリア、モロッコ、ノルウェー、デンマーク、カンボジア、タイなど王室の方々は大事なお客様でした。」
私たちウエダジュエラーにとって海外のお客様とのストーリーは大事な歴史の一部であり、代々受け継いできた貴重なストーリーです。
そして豊かな文化は異文化との交流によって育まれ、醸成されて参ります。
このコロナ禍が明け、一日も早く帝国ホテルのロビーが海外のお客様で賑わう日が来る事を願っています。
ウエダジュエラー
代表取締役社長
植田 友宏